幹細胞によって、治らなかった傷跡も治すことが出来ます

幹細胞によって、瘢痕化(硬く、傷跡が残った状態)した傷跡を治療する事が出来るのをご存知でしょうか?傷跡の瘢痕化は、傷の炎症反応の終わりに起こります。ここで、傷跡に幹細胞を投与する事で、組織の再生を促し、瘢痕化した部分を再プログラミング化する事で、傷跡が目立たなくなります。幹細胞は、様々な組織になることの出来る万能な細胞で、幹細胞を傷跡に投与する事で、傷跡の再生を引き起こし、傷跡が硬くなって目立つのを防ぎます。つまり、幹細胞は不可能であった目立つ傷跡を治すことが出来るのです。

以下、幹細胞があらゆる細胞になる様子を表した図です。幹細胞は複数のメカニズムで皮膚の細胞に影響を与えます。

HGF、肝細胞増殖因子; MSC、間葉系幹細胞; RNS、活性窒素種; ROS、活性酸素種

では、どのようにして幹細胞は傷跡を治すのでしょうか?

幹細胞は、傷ついた組織に移動すると、その場所で免疫系の調節を行い、急性の免疫応答を抑制し、長時間の炎症反応を抑えます。これにより、長時間の炎症反応がなくなることで、それにより引き起こされる、瘢痕化(傷が硬くなり、跡が残ること)を防げれるのです。また、炎症が少なくなることで、傷口の組織の線維化(硬くなる事)を防ぎます。また、幹細胞は、傷の場所における血管を新しく作り出す効果を発揮し、微小な血管環境での発達を促します。これにより、血管を介して様々な物質を伝達する事が出来るのです。そして、幹細胞は脂肪組織や軟骨細胞などあらゆる細胞になることが出来ます。そのため、皮膚の真皮や表皮を直接再生し、それ自身になることが出来るのです。このようにして、幹細胞は皮膚の残った傷跡を治します。

引用論文

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3392767/