1.幹細胞と線維芽細胞とは何か

まず、幹細胞と線維芽細胞は全く異なる細胞です。幹細胞とは、皮膚に存在する多くの細胞や、皮膚以外の多くの組織(心臓など)になることが出来ます。線維芽細胞にもなることが出来ますが、他の表皮細胞(ケラチノサイト)や血管の細胞にもなることが出来ます。

以下、幹細胞が皮膚の色々な細胞に成長するイメージです。図のように、線維芽細胞がコラーゲンなどの繊維成分を作らせ過ぎないように調節する能力を持ちます。線維芽細胞がコラーゲンを作りすぎると、「皮膚」を再生させるのではなく、単に瘢痕を生み出していることになります。すなわち、幹細胞治療と、レーザーや線維芽細胞との違いは、「瘢痕組織」を作らずに、傷跡を治していくことが出来るかどうか、が大きな違いになります。

幹細胞が皮膚の色々な細胞に成長するイメージ
MSC:幹細胞
Fibroblast:線維芽細胞、Keratinocytes:ケラチノサイト
vascular endothelial cell:血管内皮細胞
Angiogenesis:血管新生

幹細胞は自身の骨髄や脂肪から採取します。幹細胞は特定の刺激に基づいて特定の細胞や組織に分裂し分化する未分化な細胞です。幹細胞はとても万能で、あらゆる細胞になります。つまり、幹細胞は損傷した組織を取り換えて、新しい組織または臓器になる事が出来るのです。

2.幹細胞と線維芽細胞による治療法の違いとは

つまり、自分の創傷治癒プロセスを活性化させるのみか、投与した細胞が新しい組織を作り出すことができるかどうかが、両者の治療の違いです。線維芽細胞ベースと幹細胞ベースの両方の治療法は、その準備手順と機能には大きな違いがあります幹細胞は成人組織から分離され、洗練された(国に認可された)環境で厳格な管理の元に培養され、通常治療に使用できるようになるのに数週間を要します。このため、治療費は線維芽細胞治療より高額になります。(当院では即日治療する方法も行っています。)

一方、線維芽細胞は皮膚にある一つの細胞なので、幹細胞を含まず、治療効果は幹細胞治療に劣ります。効果の詳細は以下の通りです。

線維芽細胞→主にコラーゲンを生み出します。

幹細胞→コラーゲン、皮膚ケラチノサイト、皮膚栄養血管、神経他

これらの物質を投与すると、上記の組織に成長していきます。

参考文献

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3392767/